KVMとOLVMをやさしく解説!仮想化の仕組みと使い分け

1.はじめに

前回のブログ「AWSスキルを社内で効率アップ!スキルビルダー活用法」では、新卒入社2年目のAさんがAWS Skill Builderを活用して資格取得やクラウド案件に積極的に取り組んでいる様子をご紹介しました。
Aさんは入社からわずか1年半の間に、AWSやOCI(オラクルクラウド)といったクラウド案件だけでなく、オンプレミス環境の構築案件にも参画するなど、幅広い経験を積んでいます。

今回の記事では、そのAさんが現在携わっているオンプレミス環境での仮想化案件に関連するナレッジを共有します。
今回の内容はKVMとOLVMに関する仮想化の仕組みについて詳細させていただきます!
クラウド技術の基盤にもなっている「仮想化」を理解することで、クラウドとオンプレの両方をつなぐ技術の本質をつかむことができるのではないかと考えています。

2.仮想化とは

仮想化とは、1台の物理サーバー上で複数の仮想マシン(Virtual Machine)を動かす技術のことです。
CPU、メモリ、ストレージなどのリソースを分割・抽象化し、あたかも複数の独立したサーバーが存在するように扱うことができます。

この仕組みにより、以下のようなメリットがあります。

  • リソースの有効活用:物理サーバーを効率的に利用し、余剰リソースを減らす
  • コスト削減:サーバー台数を減らせることで、ハードウェアや電力コストを抑制
  • 柔軟な運用:システム構成変更やテスト環境構築が容易
  • 移設性の向上:仮想マシンを別ホストへ移動・複製できる

クラウドサービス(AWS、Azure、OCIなど)もこの「仮想化技術」をベースに構築されています。
つまり、仮想化を理解することはクラウドを理解する第一歩でもあります

3.Oracle Linux KVMとは

KVM(Kernel-based Virtual Machine)は、Linuxカーネルに標準搭載されているハイパーバイザー機能です。
オープンソースとして提供され、Red Hat Enterprise LinuxやOracle Linuxなど多くのディストリビューションで利用できます。

KVMは、Linuxそのものを仮想化プラットフォームとして動作させるため、軽量かつ高い安定性を持ちます。
また、仮想化支援機能(Intel VT-xやAMD-V)を備えたCPUを活用することで、高パフォーマンスな仮想環境を実現も可能になります。

特徴を簡単にまとめると以下の通りです。

  • Linuxカーネルに統合されており、導入が容易
  • オープンソースでコストを抑えられる
  • CLIベースで柔軟な操作が可能
  • libvirtやvirt-managerなどの管理ツールと連携できる

KVMは仮想化基盤の中核を担う技術として、クラウド環境やオンプレミス環境の多くで利用されています。

4.OLVMとは

OLVM(Oracle Linux Virtualization Manager)は、Oracleが提供するKVMベースの仮想化管理プラットフォームです。
Red Hat Virtualization(RHV)をベースに開発されており、Web GUIを通じて複数のKVMホストや仮想マシンを一元管理することができます。

OLVMを使うことで、従来のKVMのようにコマンド操作に頼らず、以下のような操作をブラウザ上から簡単に実行できます。

  • 仮想マシンの作成・起動・停止
  • 仮想CPU、メモリ、ストレージ、ネットワーク設定の管理
  • リソースの使用状況モニタリング
  • テンプレートやクローンを利用した迅速な環境構築
  • スナップショットによるバックアップや復元

つまりOLVMは、「KVMの操作を誰でも簡単に、効率的に行えるようにした管理ツール」と言えます。
また、Oracle製品との親和性が高く、Database ApplianceやOCIとの連携にも適しています。

5.KVMとOLVMの関係・使い分け

KVMとOLVMは、どちらも仮想化を実現するための技術ですが、役割が異なります。
簡単に言えば、KVMが仮想化の基盤で、OLVMがその管理ツールになります。

項目KVMOLVM
種類ハイパーバイザー(仮想化基盤)仮想環境管理ツール
操作方法コマンドライン中心Webブラウザ(GUI)
管理対象単一ホスト複数ホスト、仮想マシン群
メリット軽量・シンプル・自由度高い視覚的で管理が容易・統合運用が可能

小規模な検証環境ではKVM単体でも十分運用できますが、複数のホストや多数の仮想マシンを運用する場合は、OLVMを導入することで管理が格段に楽になります。
実際、当社でも開発用サーバーではKVM単体を使用し、本番や共用環境ではOLVMを採用しています。

6.まとめ

クラウドが主流となる中でも、オンプレミス環境での仮想化は依然として重要だと思います。
特にKVMとOLVMは、オープンソースの柔軟性と企業レベルの安定性を両立した仮想化基盤として、多くのシステムで採用されているようです。

今回の記事ではKVMとOLVMの基本と違いを理解することを目的としました。
次回は、Aさんが参画している案件を例に、KVMとOLVMを導入するまでの流れを紹介します。
クラウドだけでなく、オンプレでも強いエンジニアを目指す方にぜひ読んでいただきたい内容になりますので、ぜひご覧いただきたいです!

💡次回予告

KVMとOLVMの構築について!!!

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