1. はじめに
近年、「生成AI(Generative AI)」という言葉を耳にする機会が急速に増えています。
ChatGPTをはじめとした生成AIツールは、文章や画像、音声、さらにはプログラムコードまで自動で生成できることから、ビジネスのあらゆる領域で活用が進んでいます。
こうした流れを受けて、AWS(Amazon Web Services)でも多くの生成AI関連サービスが次々と登場し、私たちの業務にも導入が検討され始めています。しかし、生成AIの技術的な背景や、各サービスの違い・使い道を理解するには、ある程度の前提知識が必要です。
本記事で生成AIの基本概念をわかりやすく解説したいと思ってます。また、AWSにおける主要な生成AIサービスを、初学者向けにやさしく紹介させていただきます。
2. 生成AIって何?
みなさん、最近「生成AI」という言葉をよく耳にすると思います。 でも「生成AIって何なの?」と聞かれると、ちょっと説明に困る人も多いのではないでしょうか?

簡単に言うと、生成AIとは「新しいものを作り出せるAI」のことです。
たとえば以下のようなことができます:
文章の生成:ブログ記事やニュースの要約、商品紹介文の作成などをAIが自動で行えます。たとえば「旅行のおすすめスポットについて書いて」と指示すれば、数秒で魅力的な紹介文が生成されます。
画像の生成:「夕暮れの海辺に立つ猫の絵を描いて」といった曖昧な指示でも、AIがそのイメージに合うオリジナルの画像を描いてくれます。広告やWebデザインの素材作成にも使われています。
音声の生成:テキストを入力するだけで、まるで人間が話しているかのような自然な音声を生成できます。ナレーションや自動応答システム、さらには音声付き動画の作成にも活用されています。
動画の生成:最近では、AIがストーリーやシナリオに合わせて動画を自動生成することも可能になってきています。プロモーション動画や学習教材などへの応用が進んでいます。
このように生成AIは、文章、画像、音声、動画といったクリエイティブなコンテンツを自動で作れるAIなのです。
3. 生成AIを理解するための基本知識
【AI・機械学習・深層学習の関係】
AI(人工知能):人間の知能を模倣する技術の総称。
機械学習(ML):AIを実現するための手法。データからパターンを学びます。
深層学習(ディープラーニング):脳の神経回路を模した「ニューラルネットワーク」で学習する機械学習の一種の生成AIの基盤です。
【大規模言語モデル(LLM: Large Language Model)】
大量のテキストを学習したAIで、文脈を理解して自然な文章を生成します。
例:「次の会議のアジェンダを作って」と指示すると、的確な内容を提案してくれる。
【ファウンデーションモデル(Foundation Model)】
複数のデータタイプ(文章、画像、音声、コードなど)に対応する汎用型AIモデル。
例:画像を見て文章で説明したり、音声を聞いて文字に起こしたりする。
【Transformerモデル】
現代の生成AIの基盤となる構造で、「Attention」という仕組みによって重要な情報に注目して処理します。
GPTやBERTなどのモデルはこの仕組みで動いています。
【RAG(Retrieval-Augmented Generation)】
回答を生成する前に、AIが関連情報を検索して参照する仕組みです。
例:社内FAQやマニュアルから必要な情報を取り出し、より正確な回答を生成します。
【プロンプト設計とファインチューニング】
プロンプト:AIへの指示文。「どんなふうに頼むか」で出力の精度が変わります。
ファインチューニング:学習済みモデルに自社データを追加して再学習させることで、特定業務に最適化します。
【LangChain と Knowledge Base】
LangChain:生成AIを組み合わせてワークフローを作るためのツールキット。RAGにも使われます。
Knowledge Base:社内資料やナレッジなど、AIが参照する情報のストック。

4. AWSの生成AIサービスの紹介と特徴・用途
AWSは、生成AIの利用をグッと身近にしてくれるサービスをいくつも提供しています。
ここでは、特に注目のサービスをわかりやすく紹介します。
① Amazon Bedrock
特徴
複数の大規模言語モデル(LLM)や基盤モデルをAPIで簡単に利用可能
モデルの選択や管理をAWSが代行し、開発者はアプリ開発に集中できる
用途
チャットボットや文章生成システムの構築
要約、自動分類など多様な生成AIアプリの基盤として活用
https://aws.amazon.com/jp/bedrock/
② Amazon Q
特徴
社内文書やFAQなどを理解し、自然言語での質問に的確に回答
企業向けに設計された業務支援型AIアシスタント
用途
ナレッジ共有の効率化
社内問い合わせ対応の自動化やチーム生産性の向上
https://aws.amazon.com/jp/q/
③ Amazon CodeWhisperer
特徴
開発者向けの生成AIで、コードの自動生成や修正提案が得意
多言語対応で複数のプログラミング言語をサポート
用途
新機能のコード作成補助
バグ修正やコードの最適化支援
https://aws.amazon.com/jp/q/developer/
④ Amazon Titan
特徴
AWSが独自開発した安全性・信頼性重視の生成AIモデル
機密性の高いデータ処理に最適化されている
用途
金融、医療など機密情報を扱う業務でのチャットボットや文章生成
セキュリティが求められる生成AI活用
https://aws.amazon.com/jp/bedrock/amazon-models/titan/
⑤ Knowledge Bases for Amazon Bedrock
特徴
社内ドキュメントやデータベースを参照しながら回答生成が可能
最新の社内情報をリアルタイムに活用できる
用途
社内FAQやナレッジ検索システムの高度化
新入社員教育やナレッジ共有支援
https://aws.amazon.com/jp/bedrock/knowledge-bases/
⑥ Amazon Transcribe
特徴
音声を高精度でテキスト化(文字起こし)
リアルタイムと録音ファイルの両方に対応
用途
会議や電話の議事録作成
コールセンターの通話分析
https://aws.amazon.com/jp/transcribe/
⑦ Amazon Polly
特徴
テキストを自然で流暢な音声に変換
多様な音声スタイル・言語に対応
用途
音声案内や読み上げアプリの作成
視覚障害者支援や教育コンテンツの音声化
https://aws.amazon.com/jp/polly/
⑧ Amazon Translate
特徴
高精度かつリアルタイム対応の多言語翻訳サービス
常に最新の翻訳モデルが利用可能
用途
グローバルサービスの多言語対応
海外顧客とのコミュニケーション支援
https://aws.amazon.com/jp/translate/
⑨ Amazon Rekognition
特徴
画像や動画から顔認識、物体検出、テキスト検出などが可能
大規模な映像データの自動解析に強み
用途
防犯監視カメラ映像の解析
コンテンツの不適切検出や管理
https://aws.amazon.com/jp/rekognition/

⑩ Amazon Textract
特徴
スキャンした文書や手書き資料からテキスト、表、フォームを自動抽出
OCR(光学文字認識)に加え構造化データ化も対応
用途
請求書、契約書などの自動データ入力
紙ベース業務のデジタル化支援
https://aws.amazon.com/jp/textract/
⑪ Amazon Personalize
特徴
ユーザーの行動データを分析しパーソナライズされた推奨を自動生成
機械学習を用いたリアルタイムレコメンド
用途
ECサイトの商品のおすすめ表示
動画配信サービスのコンテンツ推薦
https://aws.amazon.com/jp/personalize/
⑫ Amazon Kendra
特徴
自然言語検索対応の高精度エンタープライズ検索サービス
多様なデータソースからの情報抽出が可能
用途
社内文書やクラウドデータの効率的検索
FAQシステムの強化
https://aws.amazon.com/jp/kendra/
⑬ Amazon Fraud Detector
特徴
機械学習を活用した不正検知サービス
クレジットカード不正使用やアカウント乗っ取りの予測に特化
用途
不正トランザクションのリアルタイム検知
金融業務やECサイトの安全対策
https://aws.amazon.com/jp/fraud-detector/
⑭ Amazon Augmented AI(A2I)
特徴
AIの判断に対し人間のレビューを追加する仕組み
重要な意思決定の精度と信頼性向上に貢献
用途
法的文書の自動処理の確認作業
保険請求や融資審査のAI判定サポート
https://aws.amazon.com/jp/augmented-ai/
⑮ Amazon Lex
特徴
自然言語理解(NLU)を活用したチャットボット開発プラットフォーム
音声認識も組み込み可能で多様な対話型アプリ開発を支援
用途
カスタマーサポートチャットボット
音声操作インターフェースの構築
https://aws.amazon.com/jp/lex/
⑯ Amazon Comprehend
特徴
テキスト分析に特化し、感情分析、キーフレーズ抽出、固有表現認識を実施
多言語対応で幅広いテキストマイニングが可能
用途
SNSやレビューの感情分析
顧客フィードバックの自動分類や洞察抽出
https://aws.amazon.com/jp/comprehend/
5. まとめ
生成AIは「これからの時代の必須ツール」と言っても過言ではありません。
AWSのサービスを使えば、専門的な知識がなくても、すぐに生成AIを自社業務に活用できます。
たとえば…
カスタマーサポートの自動化で対応スピードがアップ
社内資料の検索や要約がすぐにできるようになり業務効率化
新しいサービスのアイデアをAIが提案してくれる

こうした変化は、日々の業務を楽にするだけでなく、新しい価値を生み出す力にもなります。
最初は「簡単なチャットボットを作ってみる」「会議の音声を自動でテキスト化する」といった小さなユースケースから始めてみましょう!
そこから徐々にAI活用の範囲を広げていくことが、成功の秘訣です!
6. わが社としてどう取り組むのか?
AWSの生成AIサービスは、既に世界中のさまざまな業界で活用され始めており、私たちの仕事の進め方にも大きな変化をもたらす可能性を持っています。とはいえ、「技術が難しそう」「どうやって学べばいいかわからない」という声もあるかもしれません。
そこで当社(UBS)では、社員一人ひとりがこうした生成AIやAWSの技術を気軽に学べるように、AWSが提供する学習プラットフォーム「AWS Skill Builder」を導入しています。
このプラットフォームは、初心者の方でも安心して学べる構成になっており、以下のような特徴があります。
- 動画やクイズで気軽に学べるオンライン講座
- 自分のペースで取り組める
- 生成AIやクラウドに特化した最新の学習コースも豊富
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