単一クラウド依存からの脱却。現場から見るマルチクラウド構成の「光と影」

私は今、マルチクラウド案件において、企業のクラウド構築支援に携わっています。

「クラウドって、AWS か Azure か、どれか一つを選ぶものじゃないの?」

そう思っている方は多いかもしれません。ですが実際の現場では、複数のクラウドを組み合わせて使うマルチクラウドが当たり前になりつつあります。なぜそんな構成が選ばれるのか。

本記事で、その理由と注意点をわかりやすく解説します。

■マルチクラウドとは?

マルチクラウドとは、複数のクラウドサービスを組み合わせて利用する構成のことを指します。

例えば、以下のような組み合わせです。

  • AWS でアプリケーション基盤を構築する
  • Azure で Microsoft 365 と連携した社内システムを運用する
  • Google Cloud でデータ分析を行う

このように、クラウドベンダーごとの強みを活かしてサービスを使い分けるのがマルチクラウドの特徴です。

クラウドの普及初期は、1つのクラウドにシステムを集約するケースが一般的でした。しかし現在は、システムの用途や企業戦略に応じて複数のクラウドを併用する企業が増えています。

■マルチクラウドのメリット

マルチクラウドを導入することで、企業はさまざまなメリットを得られます。

1. サービスの最適化

各クラウドの得意分野を活用することで、用途に応じた最適なサービス選択が可能になります。

例えば、

  • Webシステム → スケーラビリティ重視のAWS
  • データ分析 → ビッグデータ処理に強く・コスト効率の良いOCI
  • 社内システム → Microsoft製品と親和性のAzure

このように役割分担を行えます。

2. リスク分散

単一クラウドに依存すると、そのサービスの障害がビジネスに大きな影響を与える可能性があります。

マルチクラウドではシステムを分散できるため、障害時の影響を最小限に抑えられる場合があります。

3. コスト最適化

クラウドサービスごとに料金体系や得意なワークロードが異なります。

マルチクラウドを利用することで、コスト効率の良いサービスを選択できる可能性があります。

■マルチクラウドのデメリット

一方で、マルチクラウドには課題もあります。

1. 運用が複雑になる

クラウドごとに

  • 管理画面
  • ネットワーク構成
  • セキュリティ設定
  • 監視方法

が異なるため、運用管理の負荷が増える可能性があります。

2. スキル要件が増える

複数のクラウドを扱うためには、それぞれのサービスに関する知識が必要です。

運用チームには幅広いクラウドスキルが求められます。

3. セキュリティ管理が難しい

クラウドごとにセキュリティモデルが異なるため、統一したポリシーを維持することが難しくなる場合があります。

例えば、

  • IAM管理
  • ネットワーク制御
  • ログ管理

などをクラウド横断で管理する必要があります。

■マルチクラウド導入のポイント

マルチクラウドを成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。

クラウドの役割を明確にする

「なんとなく複数使う」のではなく、クラウドごとに役割を定義することが重要です。

例えば

  • 基幹システム
  • データ分析基盤
  • AI基盤
  • DR環境

など用途を整理します。

運用管理ツールを統一する

クラウドごとの管理負荷を減らすには、共通の運用基盤が有効です。統合監視ツール、IaC(Infrastructure as Code)、CI/CD 基盤などを揃えることで、運用効率は大きく変わります。

セキュリティを一元管理する

ポリシーの統一はマルチクラウドの肝です。IAM の統合、セキュリティ監査、ログ管理などを、最初からクラウド横断で設計しておくことが重要です。

■まとめ

マルチクラウドとは、複数のクラウドサービスを組み合わせて利用し、柔軟性向上やリスク分散を実現するアーキテクチャです。各クラウドの強みを活かしてシステム全体を最適化できる一方で、運用の複雑化や必要なスキルの拡大といった課題もあります。

そのため、導入時には目的を明確にし、適切な設計・運用体制を整えることが重要です。クラウド活用が進む中、マルチクラウドは今後も重要なIT戦略の一つとなるでしょう。

私たち UBS でも、こうしたクラウド技術を活用したシステム構築・運用に取り組んでおり、クラウドエンジニアの育成にも力を入れています。

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